……なんでこうなるの?


あたしは朝っぱらからめまいがしそうになった。


静江おばあちゃんはナギを家に招き入れた後、あたしと博君を目ざとく見つけて。


静江おばあちゃんだから、あたしが逆らえるはずもなく。


にこにこ顔の静江おばあちゃんに、朝ご飯を招待されたのはいいんですけど。


なんでよりによってあたしの席が、仏頂面のナギの隣なんでしょうか?


朝から悪夢だわ……


だけど、あたしの考えをよそに、食事中のナギは礼儀正しく大人しくて。

完璧なお作法でご飯粒ひとつ残さず完食して


「ご馳走様でした。とても美味しかったですよ」


なんて、あの端正な顔だちで微笑みながら言うものだから。


静江おばあちゃんも心なしか浮かれながら、「お粗末さまでした」なんて。
絶対騙されてるよ、静江おばあちゃん!


この、二重人格男!!


あたしが横目で睨みつけても、ナギは涼しい顔で知らんぷり。


「まあまあ、女の子が朝からそんなに剣呑な顔をするもんじゃないよ、杏子ちゃん」