オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

あたしがハッと自分を取り戻す前に、ナギは湯船から上がってとっくに電話を取ってた。


「……そうか、わかった」


そう返事してから切ったナギは、バスタオルで簡単に体を拭くと浴衣を着る。


「おい、温泉魚。いつまで戸を開け放しておくつもりだ。
湿気でこっちが蒸し暑いだろう。
おまえはふやけても大した違いがないかもしれないがな。平坦胸」


…………


何なんですか、このヒトは?


あたしは頭に来て、擦りガラスの戸をこれ見よがしに乱暴に閉めた。


さっきまでのあの優しさは、一体何なのよ!?


少しでもあんなヤツに自分を見せたのが悔しくて、あたしはのぼせても構わず湯船の中につかり続けたけど。


流石に2時間近くもお風呂に浸かったのは無謀らしくて、周りの景色がぐにゃぐにゃと歪みだしてから上がろうと立ち上がったら。




そのまんま目の前が暗くなって、体が傾いたと感じた瞬間に意識が遠のいた。