オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

自分でも何を言っていいのか分かんなくて、もうぐちゃぐちゃだった。


言ってるだけで恥ずかしくなって、言いきったらもう目を逸らしてた。


ナギの淡い瞳には、もうあの恐ろしげな光は浮かんでなくて。


やっと、あのいつもの彼に戻ってた。



冷静沈着で有能だけど、皮肉屋で。



いつもの表情に戻ったナギの顔は、もう正面切って見られなかった。



ふと、あたしの手首に何か触れた感触があってチラリと見ると。



ナギが、あたしの手首の傷跡に唇を付けていて。


なぜだかあたしは、心臓が高鳴って顔が火照った。




「杏子」




ナギが初めてあたしの名前を呼んだ声は――




いつもの彼からすれば信じられないほど優しくて。




あたしはナギの顔が近づいてきても逆らわず、自然に彼の唇を受け入れてた。