オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

母親が振り下ろしたナイフが息子の胸を抉る。


何度も


何度も


何度も。



「おかあ……さ……」


どうして?


そう出そうとしたはずのナギの声は、口からごぽりと出た大量の血で、韻にすらならなかった。


ナギの目の前が霞み、暗くなる。



意識が遠のいてゆく。



その中で微かに聴こえた最後の声は。



「悪魔憑きの気味の悪い子ども。
あんたなんかわたしの息子じゃない。
汚らわしい。
この世の中に見えない怪物がいるなんて口走るあんたのせいで、わたしがどれだけ白い目で見られてきたか。

でも、これで終わりだわ。

早く死になさい。


わたしはあんたの父親との生活もウンザリだからね。
新しい恋人と愉しくやらせてもらうわ」



その人らしい狂ったような高笑いを聴いたのは、あたし?



それとも……



その笑い声を最後に、あたしの意識は現実に引き戻された。