オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

ああ、そうか。


これはナギの記憶なんだ。


どこか彼に似た、優しそうなお母さん。


こんなお母さんがいるのに、なんでナギは女性を……?


その歓喜の心が、微かにだけど伝わってきた。


――お母様が、やっとボクを許してくれたんだ。

許すって……なにを?



でも、はちきれそうな喜びをあたしも感じると、その考えはあっという間に流されて。


本当にお母さんを求める、幼子の素直な思い。


ナギは一生懸命にお母さんに走っていった。


お母様がやっとボクを抱きしめてくれる。


前みたいにキスをくれたり、美味しいお菓子もきっとくれる。


夜には一緒に寝てくれて、ご本を読んでくれるんだ。


ボクがいい子にしてたから。


「お母様……」


あと一歩で、という瞬間だった。



その左胸に鋭い痛みが走ったのは。



ナギは信じられない思いで視線を上げると、息子の返り血を浴びた母親は――



優しげに微笑みを浮かべたまま、容赦なくナイフを振り下ろした。