あの後気まずくなってパウダールームに駆け込んだあたしを追ってきたユリは、化粧直ししながら怒ってた。


「だって……キモかったもん!あたしのこと言ってると思ってたし、あんな独り言をポップに向かってブツブツ言ってるのって超キショクない?」


あたしが言い訳しても、コンパクトを勢いよく閉めたユリは多分何を言っても無駄みたいなオーラを纏ってた。


「あの後さ、えらく盛り下がっちゃって。しょうがないから一対一で別行動にしようって話になったんよ。
あんたの担当は当然ナギ君だかんね」


ここは何を言っても無駄だろうな、ということは察してたけど、思っていた以上にユリの機嫌が悪くて驚いた。

確か、ユリとジュン君は中学時代に一年間付き合ってたんだっけ。


卒業する半年前夏休み終了間際にジュン君はお父さんの転勤で東北の県に引っ越したんだけど、ジュン君は一高に合格してかここに戻ってきてたみたい。

ジュン君はユリのこと本当に好きなんだろうな。
でなきゃ一人だけ戻ってくるなんてことできっこないよ。

なんかカッコいい!ちょっとユリが羨ましいな。