オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

あたしは腰を屈めて右手でお湯の温度をみた後、おそるおそるお湯の中に入った。


どうか、男性アレルギーが出ませんように。


祈るような気持ちで肩まで浸かっても、とりあえず痒みは出なかった。


ホッとしながらあたしは気を抜かず、ナギの姿を探した。


もしも溺れてたりしたら大変。


ナギは誰にも知らせるなって言ってたけど、そうなったらマモル君を呼ばなくっちゃいけないよね。


あたしは多少焦りを覚えて、お湯をかき分けながらまっすぐに進むと。


見慣れた黒髪の、ナギの姿がぼんやりと見えてきた。


別に溺れてたりする風でもないけど。


ナギは浴槽の縁にもたれかかったような姿だから、もしかしたらお湯が熱すぎて熱と相まってのぼせちゃったのかも。

あたしは水音がするのも構わず、慌ててナギの側にまで急いだ。


少しだけ顔を上向かせたナギは寝入ったのか瞳は閉じたままだったけど、呼吸は特に苦しげでもないし、鼓動も特には乱れてない。


息を着いたあたしは、ナギの隣で彼と同じように浴槽の縁に寄りかかった。