あたしはお父さんと“あのこと”で、男性を嫌悪するようになった。


心に刻み込まれた傷のせいか、あたしにそのつもりはなくても、無意識のうちに自分守ろうとして防護壁を築いていた。


それが、男性嫌悪症となって現れた。


あたしのそれは小学生から現れた。


あたしも治そうとして、加奈子先生のカウンセリングを受けた事もある。


でも、結局は自分次第なんだって。

そう結論付けられただけ。


それ以来、あたしは男の人を理解しようとしても、それは所詮うわべだけで。


本気で向かい合ったり、本気で何かをしたりなんてしなかった。


今、ここで逃げたら


あたしは二度と


永久に


自分自身に勝てなくなる気がする。


自分の心に


過去に


とらわれ続けたままで。


それでいいの?


あたしはあたし自身に問いかけてみた。


人間のうち半分は人間なんだから、関わらないで生きていけない。


それに。


嫌だ、と思う。