あたしが肩を怒らせてシカトしても効いてないのか、その電波男は話し掛け続けてきた。

話し掛けるなどあほう!


「照れなくていいよ、ハニー。僕たちは出会うべく出会ったんだから」


自分の血管が切れそうになる音がするなんて思いもしなかった。


まだ「制服が似合ってて可愛いよね」なんて話し掛けてくるものだから、流石のあたしも我慢の限界。

こんな超ムサくてキモイ電波男にそんなこといわれて嬉しいはずがない!

たとえ相手が百億万長者だって、あたしにもちっぽけなプライドくらいある。


「あの、あたしチョッと……」


あたしがトイレにでも逃げようかと硬い笑顔を浮かべた刹那、電波男のとんでもない言葉が耳に飛び込んできた。


「モチロン今晩は一緒に……げふうッ!?」


あたしは皆まで言わせず、電波男の顎にストレートパンチを叩き込んた。


ただ、しまったと思ったのはその直後。


電波男は抱きしめた等身大ポップに話し掛けていたらしかった。

その萌えキャラは無表情だけど可愛くて、制服姿で本を広げてた。