オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

ナギの表情はタオルに隠れてて判らなかったけど。


少なくとも、いつもの毒舌はなくて。


唯一見えた唇の端が少しだけ上がったのは……


あたしをバカにしたせい?


それともまさか……


微笑んだの?


「それにしてもひどいカッコだよな俺たち。
少なくともシャワーくらい浴びて着替えたいよな」


時計を見ると、もう午後11時を過ぎてた。


ナギたちは感謝されながらも、やっぱり関係者じゃないってコトで動植物園の外に締め出されて。
今は、帰りに利用するはずだった駅のベンチにみんなで座り込んでた。


博君は一時目を覚ましたけど、疲れたのかずっと眠ってる。


「でも、ホントどうすっかな?終電はとっくに行っちまったし、携帯は電池切れ。駅に公衆電話はないし、こんな田舎じゃ流しのタクシーもないしな」


マモルが言うように、よく考えたらあたしたちは結構ピンチだったりした。


この辺り動植物園の他は山や畑があるだけでとっくに閉まった喫茶店とかがチラホラある程度で、人家すらないんだよね。