オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

―3時間後。

アラビアオリックスの処置は終わった。



「ひとまず危機は脱した。後は安定させるために2時間ごとに処方した静注を行い、体を暖めればいい」


ナギのその一言で周りから歓声が上がり、みんなは喜び合って手を取り合ったり、中には涙ぐみ抱き合う人までいた。


午後10時を過ぎたというのに、誰一人立ち去らず、アラビアオリックスのおじいちゃんの容態を心配して見守ってたんだ。


あたしはホッとして、涙が止まらなかった。


よかった……


アラビアオリックスのおじいちゃんが最後まで生き抜くのが、あたしたちへの復讐でも。


あたしは、生きていて欲しかったから。






「やあ、待たせてごめん」


マモル君もナギも、アラビアオリックスの血や嘔吐物や排泄物で全身が汚れてた。


ちょっと匂ったりもしたけれど。


「お帰り……よく頑張ったね。お疲れさま……ありがとう」


あたしは自分でも驚いてた。


タオルや服越しとはいえ、ベンチに座ったナギを思わず抱きしめてたから。