マジですか?


あたしは心の中で誰ともなく訊いてた。


「一応ダチのナギッてんだ。見た目どおり電波入りまくってんけど、あ〜、あまり気にすんな」


ひくついたジュン君がそう紹介すると、後は義務は終わったとばかりにユリとお喋りを再開してた。


ぽつねん、とあたしは孤立してたんだけど。

やばいと思ってさっき探した小説をポケットから出して広げた。


あんなキモイ電波系を一人で相手するなんて、お金出されてもいやだっての!


読む振りをしつつ、ぼけっと突っ立ってる電波男の動向を警戒してた。

話し掛けないでと願いながら。


ズルペタン、ズルペタン


き、来た!?


トイレ専用と書かれたスリッパを引っ掛けたその電波男の足音が傍に来て、あたしは全身を緊張と警戒で硬くした。


「ね、何読んでるの?その本、面白い?」


コイツ……


女性が不得手じゃないの?


こんなに気軽に話し掛けてくるなんて意外……

じゃなくて!馴れ馴れしい!

あたしに話し掛けるなんて1億年は早いわ!