オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

《オリックスの目を見ろ……周りの思いを込めて》


ナギの声は、あたしの心に響いた。


あたしは微かに頷いて見せ、周りの声に耳をすませた。


みんなみんな心配して、アラビアオリックスのおじいちゃんが助かる事を願ってる。


あたしは心が暖かくなるのを感じ、意識が白濁としたアラビアオリックスの瞳を真っ直ぐに見つめた。


みんな、みんな、あなたの事が大好きなんだよ。


あなたが生きることを願ってる。


還ってきて……


この世界は確かにあなたにひどい事ばかりした。

謝っても謝り足りないくらいに……


ごめんなさい。


でも……


ここにいる人たちは、信じてあげて。みんなの声を聴いて!


あなたはこんなにも愛されている。

仲間の代わりにはなれない?


それでもいい。


憎んでもいいから、みんなのところへ還ってあげて。


お願い!!


あたしは精一杯の想いを、全身全霊の力を込めながら視線に載せ、アラビアオリックスのおじいちゃんに届けた。