オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

――そうだよ。


あなたはまだ死んじゃいけない。


アラビアオリックスのおじいちゃん。


あなたは仲間の分まで生きなきゃいけないんでしょう!?


たとえ人間を憎んだまんまでもいい。


生きて、生き抜いて。あなたを護って逝ったお母さんの分まで。


でも、できれば。


こんなにもあなたを想ってる人たちがいることを、知ってほしい。



確かに人間はあなたに酷く惨くつらい仕打ちばかりをした。


それは、どんな言い訳したって許されない。


許されるはずもない。


でも、だからこそ。


生きて、人の温かい部分に少しでも触れて欲しいよ。


あたしたちはみんな、あなたを大切に想ってる。


大好きなんだよ。


あたしはあなたになったから、あなたもあたしに触れて欲しい。



あたしが懸命に祈っていると。



フッと、ナギの目があたしを見た。




ナギの淡い茶色の目は――




あたしの青い目を今までになく強く、真っ直ぐに捉えた。