オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

「アルカノイド系アコニチンによる中毒症状だ。
中枢神経の麻痺まで進まない内に手を打つ。
早急に胃洗浄と不整脈の対処及びステロイド剤、抗けいれん剤、鎮静剤の投与が必要だ。
静注用のフェニトインはあるか?」


ナギがいつの間にか取り出したナイロンの手袋をしながら言うと、飼育係の人は気が動転しながらもナギの詳しさに獣医と勘違いしたらしく、素直に答えた。


「フェニトインはありませんが、リドカインならあります」


「なら、それをまず50用意しておけ。
胃洗浄用にはマンガン酸塩溶液を1000倍に希釈。
なければ活性炭か牛乳、タンニン酸液を用意しろ。
マモル!おまえも手伝え!」


ナギは本物の獣医みたいにてきぱきと周りに指示を与えて、マモル君を交えて自分でも処置を始めた。


「伝導障害性不整脈の可能性があるな。アトロビンは用意できるか?
マモル、胃洗浄で経粘膜吸収を少しでも抑えろ!アルコチニンの摂取は恐らく1時間と経ってないはずだ」


「おお!こっちの用意はできたぜ。胃ゾンデを食道から胃に挿入する。手伝ってくれ」