事件は動物園エリアにあるアラビアオリックスの柵の中で起きた。
騒ぎが起きて真っ先に駆けだしたのがナギで、次に博君を抱えたままマモル君が。
あたしは怒りで対処が遅れ、マモル君の後を慌てて追っていく。
ナギの足は信じられないほど速くて、あたしが目に捉えた時にはさっと柵を飛び越え、アラビアオリックスのエリアに入り込んでた。
「キミ、部外者は立ち入り禁止だ!退きなさい!!」
飼育係らしい人の怒鳴り声を頼りにあたしは人垣を分け、マモル君の助けもあってなんとか柵の前までたどり着けた。
―そこで、あたしは目を見張った。
ナギの足元で倒れていたのは……
あのアラビアオリックスの、傷だらけの雄だったから。
体を左向きに倒れたアラビアオリックスは筋肉を硬直させて、口から何かをやたらと吐き続けていた。
「あんた!!」
飼育係がナギの肩をむんずと掴むと、オリックスの体を手早く調べてたナギはそれを払うことなく言った。
「嘔吐に不整脈、尿失禁に体温低下……四肢の硬直に起立不能。冷汗」
騒ぎが起きて真っ先に駆けだしたのがナギで、次に博君を抱えたままマモル君が。
あたしは怒りで対処が遅れ、マモル君の後を慌てて追っていく。
ナギの足は信じられないほど速くて、あたしが目に捉えた時にはさっと柵を飛び越え、アラビアオリックスのエリアに入り込んでた。
「キミ、部外者は立ち入り禁止だ!退きなさい!!」
飼育係らしい人の怒鳴り声を頼りにあたしは人垣を分け、マモル君の助けもあってなんとか柵の前までたどり着けた。
―そこで、あたしは目を見張った。
ナギの足元で倒れていたのは……
あのアラビアオリックスの、傷だらけの雄だったから。
体を左向きに倒れたアラビアオリックスは筋肉を硬直させて、口から何かをやたらと吐き続けていた。
「あんた!!」
飼育係がナギの肩をむんずと掴むと、オリックスの体を手早く調べてたナギはそれを払うことなく言った。
「嘔吐に不整脈、尿失禁に体温低下……四肢の硬直に起立不能。冷汗」



