オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

「余計なことは喋るな」

ナギが心なしか不機嫌そうに言うけど、マモル君のお喋りが止む気配はなかった。


「お前女性嫌悪症のクセして渚さんには喋るんだな。
いつも待ち伏せする女の子たちには挨拶すらしないし、告白されても返事どころか一言も話さないのに……モガッ!?」


「はい?」


あたしが信じられない言葉を聞き返そうとすると。


どこから出したのか、ナギは無表情なまんまマモル君の口に特大のフランスパンを突っ込み、彼の口を封じ込めた。


「白銀亭特製1日10本限定の最上級フランスパンだ。有り難く味わえ」


……いったいどこに隠し持ってたんですか、この人は。


それより、ナギが女性嫌悪症?


あたしと同じ……?



それこそ信じられなかったけど、今までのコトを思い出せば納得できた。


あたしには60cm以内に近寄るな、バカが移ると言ってたし。


自分から近づくときも、決してあたしから30cmは離れて直に触れるコトはなかった。


初めての事件の後、あたしが殴ったら気絶してたし。