オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

どうして……?


どうしてなの、博君!?


耳をつんざく悲鳴があたしの意識を掬いとり、現実へと引き戻した。


あたしが振り向くと、救出現場のそばでキンキン声で喚いているのは、40代くらいのおばさんだった。


「直也!剛ぃ!!
ちょっとあなた達、なにぼさっとしてるの!早くあたしの息子を助けなさいよ!!
もっと死ぬ気で頑張りなさいよ!
もしもあたしの可愛い息子たちに何かあったら、全員ただじゃ済まさないから!
警察に突き出して訴えてやるからね!」


なんて言いぐさだろう!


一生懸命善意で助けてくれてる人たちを励ますでなく、それがさも当然と言わんばかりか、努力が足りない、ただじゃおかないと脅して。


自分はなにをするでも助けるでなし、ただ喚くだけ。

これじじゃあ博君が嫌がるのも無理ないわ。


あたしがそう考えてる間にもうひとつの陰が伸び、叔母さんが全身を絡めとられ池に落ちた。


それでも。


いくら悪い人でも、目の前で人が死ぬのを見るなんてあたしは嫌だった。