オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

遠目すぎて分かりづらいけど、沈んだ2人を助けだそうと大人が5、6人がかりで引き上げようとしているのに、2人の子どもたちの体はなかなか水の中から動かないみたい。


マモル君らしい服の人も見えたから、あたしは心の中で声援を送りつつ、“あれ”のもとを辿って視線を動かした。


まさか……と思った。


信じられない思いがあった。


伸びて子どもたちを襲ったのは、紛れもなく。



博君の“陰”だった。




博君の目はなにも捉えていないように無表情で、体はマネキン人形みたいに硬直してた。



――あの時のナギみたいに――




(ばっ……バカ!なんであたし、こんな大変な時にナギなんか思い出すのよ!!)


あたしはほっぺたを両手でバチバチ叩いて、改めて博君の影を見た。


博君の影は幾つもの生命体が息づいてるように蠢いていて、猫や犬や鳥や魚……いろんな形の陰の形が確認出来た。


でもそれだけならまだしも、それのどれもが赤い目を爛々と輝かせ、凶々しくもおどろおどろしい雰囲気を纏ってた。