一匹だけ流れ流れてきた麩菓子を追って、あたしたちの側に泳いできた。
「ダメだ!」
博君がそれを掬いとる直前、コイは素早い動きであっという間に麩菓子を口にした。
博君はがっくりと膝を折り、水の中にも関わらず両手を水面に着いた。
「ねえ、何をそんなに心配してるの?」
あたしがのんびりとそう言ってた途中だった。
バシャバシャと激しい水音が聴こえたから、何事かと振り返ると。
あたしと博君から離れたあの鯉が、体を激しくくねらせ暴れ出していた。
まるで、水におぼれた苦悶に満ちた表情の人間みたいで。
あたしがぼう然と見ているうちに、そのコイの動きは徐々に弱まり、最後にはピクピクと痙攣しながら腹を上に浮かび。
そのまま動かなくなった。
毒入りの餌!
博君は知っていたんだ。
あたしはあの兄弟がいた方向を急いで見たけれど、既にその姿は消えていて。
後に残されたのは、同じように腹を上に浮かんだままピクリとも動かない無数の鯉たち。
あたしは内心しまったと臍を噛んだ。
「ダメだ!」
博君がそれを掬いとる直前、コイは素早い動きであっという間に麩菓子を口にした。
博君はがっくりと膝を折り、水の中にも関わらず両手を水面に着いた。
「ねえ、何をそんなに心配してるの?」
あたしがのんびりとそう言ってた途中だった。
バシャバシャと激しい水音が聴こえたから、何事かと振り返ると。
あたしと博君から離れたあの鯉が、体を激しくくねらせ暴れ出していた。
まるで、水におぼれた苦悶に満ちた表情の人間みたいで。
あたしがぼう然と見ているうちに、そのコイの動きは徐々に弱まり、最後にはピクピクと痙攣しながら腹を上に浮かび。
そのまま動かなくなった。
毒入りの餌!
博君は知っていたんだ。
あたしはあの兄弟がいた方向を急いで見たけれど、既にその姿は消えていて。
後に残されたのは、同じように腹を上に浮かんだままピクリとも動かない無数の鯉たち。
あたしは内心しまったと臍を噛んだ。



