オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

ハッ、と気がつけば、あたしは動物園のざわめきの中にいた。


今のは一体なに?

あたしはアラビアオリックスの雄をまた見たけれど、その雄はあたしを再び見ることなく視線を逸らして水場へ向かった。

そこで目についたのは、右わき腹と腹部の銃創。

何らかの理由で毛が生えないのか、生々しい傷跡がそのまま晒されていた。


あたしはやっと解った。

あのイメージは、あのアラビアオリックスが体験した記憶そのものなんだ。


白昼夢なんかじゃない。
現にあたしにも銃で撃たれた痛みがあったから。


たぶん、あのアラビアオリックスは野生が絶滅する前に捕らわれた雄なんだ。


あんな惨い仕打ちを、どうして人間は平気でできるんだろう。


そう考えるあたしの耳に、信じられない会話が聞こえてきた。


「あの毛皮でファー作ったら超ダチに自慢できんじゃない?」

「ウサギとかもいっけどさ、こっちのが超貴重でお宝じゃん?
鑑定団に出したらいくらつくかな〜」

「やっぱネットオークションだろ?いるんだよな〜。こ〜ゆ〜のに大金出すバカはさ」