オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】

でも……どうしよう。


トリカブトの話はまず置いておくコトにして、あたしは悩んだ。


博君をずっと家に置いておくのは構わないけど、このまま連絡もせずに博君を泊めておけば、もしかしたらあたしは誘拐犯扱いされるかもしれない。


だいたい、保護者の言い分の方が有利に決まってるし、それに。


「渚さん、どうかしたの?」


気がつけばマモル君の気遣わしげな目が、あたしの顔をのぞき込んでた。


周りをよく見ると、博君はもう他の植物に興味を移していて、係員さんに食虫植物の不思議を実演してもらって大喜びしてた。


「ここの環境にやられたのかな。顔色が悪いみたいだけど、気分は大丈夫かい?軽い高山病ならどっかで休んだ方がいいよ」


「あ、ありがとう……とりあえず大丈夫。博君もあんなに喜んでるし……さ、先に進みましょ」


あたしを心配してくれてるのか、マモル君が距離を取りながらもすぐ側に居てくれるのは、なんだかホッとできた。


マモル君の言うほどじゃないけど、確かに少し気分が悪くなってたから。