「きれい……」
あたしが呟くと、隣であたしの手を握りしめてたナギの手のひらに力が籠もった。
「……おまえの方がきれいだ」
「え?」
あたしが振り向くと、ナギはあたしの目を真っ直ぐに見て言う。
「仕事ばかりであまりそばに居られないが、おまえは幸せか?」
ナギの問いに、あたしは躊躇うことなく頷いた。
「うん、あたしは幸せだよ、ナギ。あたしはあなたからたくさんの幸せをもらえてるの。それに……」
あたしはナギの手を掴むと、そっとお腹に触れさせた。
「まだ8週目だけど、昨日わかったの」
一瞬だけど、ナギは嬉しそうに微笑んだ。
「俺は、おまえを永遠に愛そう。おまえがくれた幸せを忘れないために」
それは、新たな誓い。
あたしはナギの目を見て頷き、彼と唇を重ねた。
あたしとナギの命は、いつまで保つかわからない。
けど、だからこそ。
あたしはこの人とともに精一杯に生きてゆこう。
共に命が尽きる日まで。
【完】



