ファウンティンに捧ぐ歌

「今までは、それ位の夢しか見てなかったよ」



私のその言葉に、従利はピクッと反応して、再び私に視線を戻した。

そう……今日、初めて違う夢を見た。




「『今までは』……って? どう言う事?」


「今日ね、私が倒れる前、図書室から教室へ戻ろうとしたら、教室から歌が聞こえたの」


「……歌、って……まさか……」


「いつも夢の中で聞いてた歌と、同じだった」




私がそう言うと、従利は小さな声で『あのバカっ』と呟いた。



「誰が歌っているか確かめようと、教室へ入ったら剣崎君しか居なくて……振り返った顔を見た瞬間、それまで顔が分からなかった夢の中の人が、剣崎君だって分かったの」

「その後、倒れたの?」



私は無言で頷いた。