~~~アキラside~~~ 車に乗ったオレは、急に無口になってしまったかもしれない。 「岩盤浴に行ってたんだぁ。」 というクミちゃんから、ふんわりとシャンプーのいい香りがしてきたからだ。 「どこに行くの?」 そう尋ねる彼女に、無言で答えたオレは、工場地帯の中を少し走って、路肩に停車させた。 月は雲に隠れていたけれど、街燈のオレンジの灯りがオレ達を照らす。 二人だけの車内。 そこは誰にも邪魔されない、オレ達の世界が広がっていた。