なんだか、ずいぶん昔の話に感じるなぁ……





たった2週間前のことなのに、ひどく体育祭が懐かしく感じる今日この頃。





んんっ!?
もしかして、これが噂の“受験生ブルー”??





………って、
そんなのマジであんのかよっ!





一人でボケツッコミをして歩いていたら、気づいたら目的地に到着していた。





そこはあの一件以来、あたしが度々訪れている保健室で。





コンコン−−



ガラッ−−



「千夏さん、来たよ〜」





一応ノックはするものの、返事も待たずに入室したあたしを、





「いらしっしゃい。
待ってたわ、楓ちゃん」






と、にこやかに迎えてくれる若宮先生。





「早速だけど、コレ食べてみてくれる?」





いかにも手作りらしく、可愛い絵柄の紙ナプキンに包まれたパウンドケーキを、あたしが座るやいなや、これまた可愛い手つきで差し出した。






「いただきます」



「………どうかしら?
南瓜を入れてみたんだけど……」





不安げにこちらを見つめる仕種がまたまた可愛い。




あたしはなんとか水分補給なしでソレを噛み下し、千夏さんが用意してくれたいつもの椅子の上で考えた。






そしてどっかの料理評論家よろしく、一瞬目を閉じてから答える。





「そうですねぇ…
バターをもう少し入れた方がいいかも。
あと、南瓜の種、ちゃんとから煎りしてますか?
香ばしさが足りない気が……」






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