気づくと、サンダルを履いた足が濡れていた。 雨が降ったわけじゃない。 芝生に露が降りていた。 ああ、秋が来るんだ、と思った。 こうやって、時間は進んでいる。 今も刻々と、周りが明るくなっていく。 雀の鳴き声もする。 朝が来る。 秋が来る。 始まりは、終わったからやってくる。 さようなら、だ。 勢いよく足を振りあげたら、雫が飛んだ。 それは、太陽に照らされて、白く輝いていた。 ―完―