ベンジャミンの窓辺で

少し経ってさっきのSPが何人かの女性を連れて近づいてきた。

「お待たせいたしました」

そう言うと女性たちはいくつもの箱からヒールを取り出す。

「お好きなのをお選びくださいませ」

「え!?」

並んだのはどれも高級そうなものばかり。

「いや…こんな高そうなのとても」

「選んでください、俺が買いますから」

「こ、困ります!そんなっ」

「もともとは俺が誘ったためなんです、買わせて下さい」

「そんな…」

「いいからいいいから!」

そう言うと一足を手に取り、あたしの足に履かせる。

「少し大きいかな?サイズいくつですか?」

「に…23です」

「そっか」

結局一足を買ってもらってしまった。

薄い黄土色で、先に大きいビーズがついているもの。

「本当にいいんですか?」

「はい、これで」

SPにカードを渡して支払いは一瞬。
一体この高そうな靴がいくらするのかも分からなかった。

「では行きましょうか」

そう言うとほほ笑んで、手を差し伸べてきた西園寺。

「…\\\」

照れながらもその右手に左手を重ねる。


そしてあのベンツに一緒に乗り込んだ。