バウンドして落ちてくるそれを避けながら、そっちの方の注意力を散漫にしていたあたしは、さっき自分が攻撃を加えたヴァンパイアに押さえ込まれてしまう。
「く…っ‥」
伸びた長い五本の爪で体を拘束され、爪が深く抉り入った壁はピキピキとヒビ割れていった。
両刃の剣のような爪で首の左右を挟まれ、残りの3本の爪はあたしの両脇下と股の間を突き刺している
少しでも身動きすると切り刻まれそうな圧迫感に、固唾を飲んで体を硬直させた。
「フィア!」
それを見たウェルシーが、珍しくまともに名前を呼んで助けようとしたらしいのだが…同じく、素早く起き上がって来たもう一匹のヴァンパイアに阻まれ、防戦一方になってしまう。
「……便利な爪ね。伸縮は、自由自在?」
もう片方の手の爪で、さわさわと嫌らしく髪を揺らしてくるソイツに問い掛けた。
「…オマエ…“ゴート”か?」
その問い掛けを無視しながら、ソイツはグルグルと喉なのか腹なのか分からない何かを鳴らし、爪であたしの頬をなぞる。
───その様子を見る限り…どうやら、相当腹が減っているようだった


