ズダンッ、と不様な音をたてて転がる一匹とはよそに、図体のでかいウェルシーは、逆にその足を取られてもう一匹の奴に組み倒されていた。
「何やってる!?」
床に着地ざま、振り向いて叫ぶ
「お…っ、お前が“媚薬”とか‥変な言い回しするから、イケないんだろう!?」
小さな鉄筋の破片みたいなもので、必死に迫り来るヴァンパイアの顔を押し退けながら、ウェルシーは言った。
グググ…と、相殺しあう力で二人の間を行き来する細い鉄の棒が、予断ならない緊迫した戦いの模様を表していた。
「はぁ!?お前、あれくらいで動揺したのか!?」
「ウルサイ!お前の口から、そんな言葉が飛び出すとは思ってなかったから、ちょっとビックリしただけだ!!」
少し焦ったように、そう言い訳をしながら、ウェルシーはのし掛かるヴァンパイアの腹をヒールで強く蹴りあげる。
先端に十字の形が刻まれたそれは、ソイツの腹に軽い火傷の傷を負わせながら、天井の瓦礫に叩きつけた。


