「どこに行く気だ」

一番右端のハゲの男が、威圧感のある口調で言った。


「“クイール”しに」

口早にそう答えながら、ソイツらの真ん中を突っ切って通り抜けようとする。


途端、左側のハゲに腕を強く掴まれた。



…気安く触んなっつーの。



「勝手な行動は許さん。“啓示”が発令されるまで待て」


「嫌だね。何でこのあたしが、アンタらの言う事なんか聞かなきゃないわけ?」

相手があまりにも傲慢そうに物を喋ってくるから、あたしも挑発的に言い返す。



“目には目を、歯には歯を”


これ、人類最強の共通セオリー


…なのに、どうやらソイツらはそう言った‘常識’が分かってないらしい。



「このへレジーが!!」

小汚ない唾を飛ばしながらそう激昂して、あたしの細くて華奢な腕に、ガシャンと無機質な手錠をかける真ん中のハゲ………って、言うか皆ハゲ。


その醜さと薄汚さに、思わず顔がひきつる。




「悪いけど、あたしアンタらみたいな汚いオッサンと、遊ぶ趣味は無いんだよねー」

さも不快そうに顔を歪めながらそう言ってやって、手錠が繋がれた腕を思い切り上下に振ってやった。