「隊長、そんな奴をエコヒイキするのか」
きっとそれ以上、剣呑な雰囲気になるのを防ぐ為に、あたしを連れだそうとした キルバッシュの意図を察知し、ウェルシーは不満げに問う。
その言葉に、もちろん先に反応を示したのはあたしだ。
「“そんな奴”って、どう意味だよ?坊っちゃんのくせに」
肩を抱いて、あたしを部屋の外へ誘導しようとしていた キルバッシュの手を振り払い、あたしは挑戦的にウェルシーに向き直る。
「そのまんまの意味に決まってるだろう。お前らゴートの一族のせいで、俺達通常の人間がヴァンパイアから襲われるハメになってんだから」
蔑むようにそう言ってのけられた台詞に、あたしは頭に血が上るのを感じた。
「お前……っ」
確かに、こうまでしてヴァンパイア達が人間の存在を脅かすようになった一因の原因には、あたしの一族“ゴート”が深く関係している。
古くから、ヴァンパイアとゴートは“血を吸う側”と“血を吸われる側”として共存してきた。
彼らにとって、ゴートの一族の血はこの世で最高の美血であり……彼らの持ち合わせるヴァンパイアとしての能力も、最高潮に高めてくれるよき‘強心剤’のような役割も持っているらしい。


