「…キ…キルバッシュ…」
「“婚約者”が目の前で、違う男に足を振り上げてる光景って言うのは…あまり気分が良いものじゃないね」
───…あたしの婚約者と言う存在
「…キル!聞いたか!?コイツ、また…」
「ウェルシー」
突然現れたキルバッシュの姿に、勢い勇んで言葉を紡ぎだそうとしていた“坊っちゃん”
それをたしなめるように…キルバッシュは、落ち着きのあるその静かな声音で言った。
「仕事中は“隊長”だろ?」
幼い子供に言い聞かせでもするような優しい口調に、ウェルシーは一瞬言葉を詰まらせる。
「あ…す、すまん。キ…隊長」
そして、バツが悪そうにその赤毛に手を突っ込んでポリポリと頭をかいた。
…そんな弱ってる奴を前に、思わずあたしは意地悪い言葉を言わずにはいられない
「“すまん”じゃなくて“スミマセン”だろ?坊っちゃん」
キルバッシュの真似をして、ゆっくり諭すように言ってやったら…それこそウェルシーは、その顔を自分の髪の色みたいに真っ赤に紅潮させて怒りを露にした。


