その思わぬ真剣な表情に、全身がギクリとした。


「な…何だよ…」


「俺の目…やっぱり変ですか?」

何だか物悲しげな様子でそう問いかけてくる男に、少し困惑して眉を寄せる。



「…変だろ、どう見ても」

ハッキリした色彩の無い“曖昧”な瞳


なのに、その曖昧さは、目にした総ての色を自分の“あやふや”さに取り込んでしまうような…そんな恐ろしい印象さえ持っていた。


「どんな風に変ですか?」

突っ込んで聞いてくる男の瞳が、今はあたしの漆黒の色を取り込んで、暗闇に染まり上がっていた。


そして、それは同時にあたしの中に存在する“何か”まで、あやふやに融解させてしまうような危機感があった。


「どうって…」

その瞳に見つめられると、何故だか頭がぼんやりしてくる。


思考も理性も、総て根こそぎ掬い取られていくような…そんな浮遊感を覚える。



「俺の目、見て下さい」


「……」


そして、ぐるぐると視界が周り目蓋が重……