へたれンパイア~バイオレンスな生贄~



「───…ッ、絶対に許せん!!」


そんな許すまじき屈辱にカッと目を見開き、至近距離にあった男の顔に思い切り額をぶつけた。


「…んがッ!」

すると、その予期せぬ痛みと衝撃から男は無言で顔を押さえ、あたしの横にずるずると滑り落ちる。


そして、それを好機とばかりに懐から聖水の小瓶を取り出し、男の顔面に惜しげもなくぶっかけた。



「観念しろ!これで、お前が人間かそうじゃないか…が……」


「うっわ!何だ、コレ!?にっげぇー、ペッペッ!」


「……」

調べなくとも、分かってはいたが……だ。

「……お前、そんなんで本当にタダの人間だって言うなら、よっぽどの変人だぞ」

最早、色んな事に呆れるしかないあたしは…深い溜め息を吐いて、そう言った。


「何、言ってんですか!?俺が、人間以外の何に見えます!?」

さも心外だと言わんばかりに、唇を尖らせて言ってきたソイツに小さく頷く。


「そうだな…その“目”の色以外は、どこからどう見ても立派な人間だ」

ほんの少し、茶化すつもりでそう言った。


だが、予想に反して男はその顔からスッと表情をなくすと、突然能面のように無表情な顔で見つめてくる。