へたれンパイア~バイオレンスな生贄~



しかし、そう思う心とは裏腹に、徐々に高まっていく心拍数の不穏さにあたしは唇を噛み締め、溢れ出しそうになる"負"を必死に堪える。


そうして、そんな切実なる願いが、天に届いたのかどうなのか──…



「────~~…ッッ!?」


突如として、後頭部を直撃してきた激しい衝撃に、声も出せずうずくまった。


まるで鈍器か何かで殴られたようにズキズキと痛む頭に、呼吸が苦しくなり、生理的な涙で視界も霞む。


そして、そんなあたしを嘲笑うかのように、目の前にコロコロと転がって来た、一個のジャガイモの姿に目を見開いた。

凹凸のひどい地面を、いかにも不器用なさまで進み出でてくるそれは…まるで"自分が犯人だよ"とでも言いたげに、ピタリと眼前で止まる。


それに、図らずも全ての事情を理解してしまったあたしは、"犯人"に対しての激しい怒りに、振り返って声をあげた。



「メ───…ッ、」


「ギャッ!!」


ところが、その言葉を遮るように頬を掠めてきた得体の知れない物体と、潰れたカエルみたいな声を出しながら倒れ込んできたマティリアに、驚愕する。


何かの痛みに耐えかねたようにゴロゴロと地面をのたうち回り、さっきまで新品同様だったはずの白いドレスを泥だらけにしていく様子に、何が起こっているのか分からず困惑した。