へたれンパイア~バイオレンスな生贄~



『ごめんね、食べちゃった』



「──…っ、」


だが、そんなあたしに襲いかかるのは、今一番来て欲しくない…フラッシュバック。


心臓のリズムが急激に跳ね上がり、込み上がる嗚咽に苦しくなって、必死に背中を反らし耐えた。

唇はカラカラに渇き、震える指先がすがるように胸元のクロスに触れる。



ダメだ、落ち着け。取り乱すな。やめろ…冷静に、なれ…ッ…


自分自身に何度もそう言い聞かせ、強く目を瞑った。



「……く、そ…っ…」


深く項垂れ小さく吐き出した声は、本当に自分のものとは思えない程に、弱々しくて…握り締めた手のひらの中に、固いクロスの感触を感じる。


このフラッシュバックが起こった原因は、「タベル」と言う単語を聞いたせいだと、分かっていた。


でも、そんな自分が許せない。そのたった一言で、フラッシュバックを起こしてしまう弱い自分が許せない。闇を振り払えない自分が許せない。



垂れた前髪の間から見える奴は、まだあたしのこんな状態に、そんなに不信を感じている様子はなくて…今の内に、どうにかこの闇を振り払わなくてはと思った。