しかし、あたしにはどうしても一つだけ、解せない事がある。
「あたしの血が、欲しくはないのか」
そう問いかけたのは、奴等の"血に対する欲求"の薄弱さが、気にかかったからだった。
正直に言えば、今のあたしは"絶好のカモ"状態。
ヴァンパイア達に咬まれたり、叩きつけられたりしたおかげで、至上マレに見る出血大サービスっぷりだった。
「欲しい!欲しいですわ!!」
「…お前に、聞いていない」
横からシャシャリ出てきたマティリアに片手を突き出し制止し、チラリと横目でソイツの反応を確かめる。
「そうか、欲しくないんだな」
際立って何も特別な返答を寄越してこないのに、そうなのだと確信した。
コイツらは、既存のヴァンパイアよりも「血に対する飢え」が、少ない。
それは、あたし達が今まで思い描いて来た『ヴァンパイア』像を根本から覆すものとなり、"血"に変わる"ナニか"がコイツらの欲求を満たし始めたと、考えるしかなかった。
──…それは、何か。
何故だか、その先を考えるのはすごく憚(はばか)られた。


