「教えろ。お前らが、ヴァンパイアブラッドに成り上がった要因は、何だ」
自分の中に込み上がってくる、この得体の知れない感覚は、一体何なのだろうか?
黒く、深く、ヌラヌラと闇の中で光輝くように、ゆっくりと差し迫ってくるソレは……“予感”と言う名の『不吉』
「……」
ソイツは、何も答えなかった。
ただ、次々と消し去られていく同胞の行方を、物言いたげな表情でジッと見つめている。
生温い静寂の時間が流れ、あたし達を挟んで動き回るマティリアの姿が、一瞬視界から消えた頃…やっと、ソイツが口を開いた。
「腹がヘッタ」
「…なに?」
さも空腹で困ってます、と言った風に腹に手を当て、少し揶揄(やゆ)めいた感じにさえ口端をあげてくるのに、激しい苛立ちが募る。
コイツは、人をバカにしてるのか?
「そんなのは後だ」
「腹がヘッタ」
それでも、同じ言葉を繰り返してくるのに、妙な違和感を感じた。
"腹が減った"
それは、血を飲む事でしか喉の渇きを潤せないヴァンパイア達が、体の底から沸き上がってくる"渇望"の変わりに言うセリフ。
ヴァンパイア達は、血を飲むことで生命活動を維持し、それを骨や肉に変えるのだ。


