「マティィー!!イイ加減にしろよオォーッ!!早く、メフィちゃんノ心臓ヲ寄越せバ、オレたちハ本当のヴァンパイアブラッドになレルんだ…ッ!!」
「‥…な、に?」
予期せずして言われた言葉に、全身が総毛立ち、我が耳を疑う。
ドクドクと心臓が有り得ない早さで脈打ち、緊張で嫌な汗が毛穴中から吹き出した。
メフィストの心臓で…"本当のヴァンパイアブラッド"になれる、だと…?
そして、その意味を深く理解する前に、マティリアがまだ周囲に残るヴァンパイアからあたしを守るように、目の前に立ちはだかる。
ふわりとなびく金緑色の髪が、視界に映り込んだ。
「その件でしたら、丁重にお断りさせて頂きますわ。
"ああ"見えましても、兄は正統なるヴァンパイアブラッドの継承者…あなた方みたいな野蛮なカス野郎共に、オイソレとお渡しするわけにはいきませんもの」
何故か、満面のフル笑顔でそう言ってみせると、マティリアは収縮させていた爪をまた最長に伸ばして、周りに残存していた下等ヴァンパイア達を狩りに飛び跳ねる。
バン、と強く蹴られた地面の衝撃に巻き起こった風が、あたしの髪を揺らし、その生温さに不快感さえ感じて目を細めた。


