「…メフィスト……マティリア…なに、している…」
そんな時、不意にこの場にはいない第三者の声が聞こえ、ハッとして扉の方を振り向く。
すると、そこには軽く天井に頭がついてしまう程の背丈を持った、大柄な体格の男が一人いて…
その見る者を圧倒する巨漢さと、長い前髪で目元を隠した陰鬱さに、小さく息を呑んだ。
「ブレイン!!」
「ブロロード!!」
ところが、それを見た二人が即座に違う名前を互いに呼んだ事に、疑問を抱く。
名前が二つあるのか…?
「……メフィ…誰、そいつ…」
腹の底に響く低い声で、男はボソボソとぶっきらぼうに喋った。
淡いパープルと、多少の白髪が入り混じったような胡麻塩柄の髪の毛の奥にある表情は、どこか暗い陰が落ちていて深くは読み取れない。
それに加え、男にとってはどうにも低すぎる天井が、頭を圧迫していて傾けた首が少し辛そうだった。
「ブレイン、この人は姉さん!今日から一緒に住むことになるから、よろしくね」
「……は?」
男の事を"ブレイン"の呼称で呼ぶメフィストは、そんなあまりにも信じ難い事を言って、あたしを驚愕させる。
思わず、口から漏れ出た声は低かった。


