"喪失感"とは、本当に総てをなくす。


元々、そこに何があったのかさえ忘れさせてしまう程に、総てをなくす。




『君は、フィアだね?』


初めて会った時から、彼は何故か懐かしい感じを漂わせていた。


『安心しろ。これから、お前の命はこのクイール討伐団が預かる』


燃え盛る村の中に現れた彼らは、たくさんの傭兵を引き連れ、激しく躍り狂う炎の壁を背にしていた。




それは、あたしが討伐団QUELLの団員、フィアーネ・モアとして存在する前の一番最初の記憶



そして、総ての“悪夢”の始まりでもある記憶──…