だが、当の本人は気抜けた態度ヨロシクと言った感じで、ペタリと床に座り込んだまま、ぼんやりと天井なんかを見上げている。
「お前、いい加減に…ッ…!」
そのくせに何だかんだと言って翻弄されている自分が腹立たしく、八つ当たり気味にまた掴みかかろうとした。
ところが、二・三歩足を踏み出したところで、ポタリと自分の肩や顔に降りかかったモノに動きを止める。
それは肌に触れた瞬間、ヒヤリと冷たく…視線で捉える間もなく、その正体が何なのかが分かった。
だからこそ、それを確認するのを少し躊躇せざるをえない。
けれど、その意思とは反して…その流れる液体は、あたしの頬を、鎖骨を、腕を、ツーと流れ落ちていった。
それに続いて、背中にはヒヤリとした自分の冷や汗が伝う。
「あー…、まだ"残し"てたんだ」
まるで空に浮かぶ雲を眺めでもするように、天井を見上げるメフィストの顔に、ポタリポタリと赤い液体が数滴滴り落ちた。
それをペロッとヤケに長く真っ赤な舌で舐めあげると、彼はそっと視線を戻して来て言う。
「飲み残しみたい」


