へたれンパイア~バイオレンスな生贄~



痛い、それは確かに尋常じゃなく痛い。


だが、痛みに悶えて背中を丸め、うずくまるメフィストのこの期を逃してはなるまいと、あたしは痛む額を押さえながらすかさず蹴りを入れた。



「多分、姉さんが言ってるヴァンパイアブラッドって、俺の事じゃないと思うよ」

だが、それはいとも容易くメフィストの手の内に収まる。


あんなに今まで散々あたしの蹴りを受けて来たのに、ここでそんなに簡単に止められるなんて思っていなかったから……かなり、屈辱的だった。



「バカ言うな、今お前が自分の口でそう言っただろう…ッ」

振り上げた足にグッと力を込めるが、思わぬ強さでそれは押し返される。

相殺し合う二つの力が、メフィストとあたしの間を行き来した。



「そうだけど…俺もヴァンパイアブラッドだけど…きっと"姉さんが探してる"ソイツは、違う」

何と説明するべきか困惑しているような、そんな迷いの表情を見せるメフィストに、激しく苛立つ。


「じゃあ、何だって言うんだ…ッ!?」

股の付け根が痛いくらいに力を込め、押さえられた足を彼の顔の近くまで追いやった。


何かを考え込むように眉を寄せ、一点を見つめているメフィストは、もうあたしの足の力にも大した抵抗はして来ない。