「…ヴァ、ンパイ…ア…ッ…ブラッ、ド……」
「……」
そんな憎しみの言葉を吐き続けながら、あたしは手を動かし続ける。
さっきまで、指一本もまともに動かなかった右手が、床に叩きつけられるくらいまでには動くようになっていた。
そして、一度床に強く当たり、骨にまで振動を与えたその衝撃は、徐々に凝り固まったあたしの体を解かしていく。
「……姉さん」
気付いた時には、自分でも痛みが麻痺するくらいに床に何度も拳を叩きつけていた。
皮が擦れ血が滲むのが分かったが、何故だか肝心の"痛み"自体を感じない。
唇を噛み締め、皮膚に犬歯が突き刺さるのを感じたけど、それでも止めなかった。
悔しい、悔しい…ッ
何故、動かない!?動け…ッ、動け動け動け動け……!!
「姉さん、分かった」
不意に、打ち付けていた拳が驚くほど冷たい手に包まれる。
「分かったから…もう、止めて」
その瞬間、あたしの体は嘘のように軽くなり、慌てて起き上がったらクラリと目眩がしてゴプッと口の中から、何かが溢れてきた。
……胃液だった。


