へたれンパイア~バイオレンスな生贄~



「姉さん…苦しい?」


今、あたしを抑え付けているもの───…それは、メフィストの圧倒的な“殺気”


尋常じゃない、感じたことのないくらい邪悪で重たい気配が、あたしの全身を押さえ付け身動きを取れなくする。

辛うじて動くのは小さな眼球だけで、それ以外はまるで神経が壊死してしまったように、指一本動かす事が叶わなかった。


そんな中でも全神経を集中させて、どこか動かせる部分はないかと必死に自分の中を探る。



すると、わずかに右手の人差し指を動かす事が出来た。

出来たからこそ、全身にのし掛かる見えない恐怖と闘いながら、必死に動けと命じる。



──…人の心の中で、一番醜いものは"憎しみ"だと知っていた。


だけど、その代わり"憎しみ"と言う感情は、何よりも強くて何よりも尊い

それは時として、邪悪なものへと変貌するが…"生きる力"にもなる。


それを誰よりも感じて、誰よりも身に染みて理解しているのは…あたし自身だ。