「う…ッ…」
頭の中がドロドロに融かされていくみたいな浮遊感に、バク転から着地したものの、すぐに倒れ込んでしまう。
……しまった…体が、動かない…
呼吸が激しく乱れ、"動け、動け"と体に命じれば命じる程、全身に力が入らなくなっていった。
…頬に当たる床の感触が、ひどく冷たい。
「姉さん、ごめんね」
ふと目を開けると、何の痛手を受けてる様子もないメフィストが、さも申し訳なさそうにちょこんと正座をしていた。
全ての神経さえもヘバリつけられたかのような圧迫感の中、あたしは必死に視線だけを上げて彼の顔を仰ぎ見る。
「…ォ…っ……ま、ェ…」
声にした言葉は言葉にならず、握り締めようとした拳もただピクピクと指を痙攣させただけだった。
「ごめんね…でも、こうでもしないと…姉さんは、強いでしょ?だから、俺怖いんだよ」
心底悪いと言った感じで眉を下げ、労りさえ見せてくるメフィストに、腸が煮えくり返る。
どうして、こんな奴に勝てないんだろう…どうして……こんな奴の“気配の圧力”に負けてしまうのだろう───…、と。


