頭に血が上ったようにクラクラし、自分がこれ程までに無いくらい動揺しているのが分かった。
「姉さん、信じてよ…」
「……っ」
そして、すがるようにあたしの足に手を伸ばして来たメフィストの指先に、赤黒く伸びたヴァンパイア特有の爪がある事に気付き、慌てて飛び退く。
咄嗟に銃も構えるが、中の銃弾が抜き取られていた事を後から思い出した。
…だが、そう分かっていても、今手元にある武器がそれしか無いため、仕方なく向け続ける。
今更だが、途中でブーツを脱ぎ捨てて来たことを深く後悔した。
金緑色をしたメフィストの柔らかな髪に、冷たい銃口を押し当て、ちょっとの動きも見逃さないようにする。
伸ばされていた彼の指が、あたしの足の寸前で止まっていて…‥体が指の先までバカみたいに強張り、銃を構えていた手が、不覚にも少し震えた。
「姉さん」
その体は寸分足りとも動いていないのに、声に反応したあたしの体が、情けないくらいにビクリとする。
ドクンドクンと頭が痛いくらいに心臓が早鐘を打ち、その後に続く静寂がより緊張を誘った。
これから、何を言われるのだろう。
これから、何が始まるのだろう。
──…そんな得体の知れない恐怖に、身の毛がよだつ。


