へたれンパイア~バイオレンスな生贄~



メフィストは一瞬、驚いたように目を見開き、すぐに眉をハの字にして自分こそ泣きそうな顔をする。



「仕方無いよ」

大気を震わせたその声に、あたしの肩もビクンと跳ねた。



「…だって、“夜は人間”だもの」


「……な…に?」

しかし、今度こそ目を見開いたのはあたしの方で、銃を握り締めた力も自然と緩む。



夜は人間…?何だ、コイツは何を言ってるんだ…?


そんなあたしを感じ取ったのか、メフィストは尚更その顔を情けなく歪ませた。



「信じられないのも、仕方無いかもしれない…でも、本当なんだ。俺は、夜になると人間になる」

懇願するように両手をつき、身を乗り出してくる様子はあまりにも真に迫り過ぎている。


「ふざけ…っ…」


「信じてよ、姉さん!俺は昼にはヴァンパイアとして生活出来るけど、夜には人間になっちゃうんだ!!

そんなの可笑しいって分かってるよ!?でも、そうなんだ!俺は生まれつき、そうだったんだ…!!」


どうしようもない葛藤を抱いた子供のままに、キンキンと耳障りなほど高い声で訴えかけてくるメフィストに、あたしは為す術もなく呆然と固まった。


取り落としそうになった銃だけは、必死に何とか堪える。