「ふぅ…。あ、涼ちゃん今さっき細川先輩と何話してたの?」



「モチベーションの上げ方?」



「そうなんだ?
先輩の話、参考になった?」



「なったよ。明日からまた頑張れると思う。」



「よかった。私は、涼ちゃんやみんなが走ってるのが好きだから。」





佐藤はニコっと笑った。

そのまま、シートの上に脱ぎ捨てられて散らかったジャージを畳み始めた。



ちょっとドキっとした。





ダメっぽい。

拓馬とかで言い訳しても、自分の気持ちには嘘つけない。





「なぁ、佐藤。」



「ん?どうかした?」



「…いや、なんでもねぇや。」



「クスクス。どうしたの?」



「呼んでみただけ。」



「そうなんだ?
あ、サボっちゃだめだよ?健人先輩に怒られるのは私なんだから。」





それはないと思う。

だって…健人先輩も拓馬と同じ目で佐藤のこと見てるし。